藝大建築科の二次試験には、どのような問題が出題されるのでしょうか?

東京藝術大学美術学部建築科の二次試験には、「空間構成」「総合表現」と名づけられた、二つの科目があります。過去の入試問題は、公式の[入試情報サイト]からダウンロードすることができます。ここから入手できるのは、2013年度=平成25年度入試以降の問題です。最新年度の入試問題は、実施年の5〜6月に掲載されることが多いようです(註1)。
同科は、この[入試情報サイト]の中に、「出題意図」を掲載していません(註2)。その代わりに、同科が独自に運営しているブログの中で、合格者の作品を紹介しています。
このブログの記事は熟読する必要があります。単に作品画像を掲載しているのではなく、二次試験の評価ポイントを解説しているためです。非常に詳しく説明されていますので、以下のリンク先の解説を自力で読んでみてください。
なお、注意しなければならないのは、ここに紹介されている作品のようなものを同科が求めているわけではない、ということです。作品解説をよく読むと、短所も指摘されています。同科の教員たちは「もっと高いレベルの受験生が集まることを期待している」というメッセージをこめて、この解説サイトを設けているのだろうと思われます。

 

東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品(公式解説)

2024年度=令和6年度入試
2023年度=令和5年度入試(註3)
2022年度=令和4年度入試
2021年度=令和3年度入試
2020年度=令和2年度入試(註4)
2019年度=平成31年度入試
2018年度=平成30年度入試
2017年度=平成29年度入試
2016年度=平成28年度入試
2015年度=平成27年度入試
2014年度=平成26年度入試
2013年度=平成25年度入試

 
 

註1)2021年度は5月20日、2022年度は5月下旬、2023年度は5月11日、2024年度は5月中旬だった。なお、藝大建築科は実技試験の問題用紙を持ち帰ることができないよう制限しているため、最新情報を手に入れるにはこの時期の公式発表を待たなければならない。当学院建築科は試験直後に受験生から聞き取りを行って問題の内容を把握しているが、藝大受験者のいない小規模予備校や画塾等に所属して藝大の試験対策を行おうとするならば実技試験実施後二か月以上情報入手を待たされることになる。こうした経済格差を助長するような、あるいは地域差別的な藝大の情報統制方法については大いに疑問がある。なお、当学院建築科は、受験生からの問い合わせがあれば、一切の出し惜しみなく情報提供を行っている。

註2)2021年度入試から、建築科も『出題意図』を掲載するようになった。2022年度入試の建築科の『出題意図』は例年よりも詳しい内容であり、2023年度入試の建築科の『出題意図』は出題者の感情が垣間見える興味深い内容であった。これらの文章を書いた教員の態度を高く評価したい。一方で、本来は、受験者に要求したいことがあるなら『入学者選抜要項』や『募集要項』、そして問題文の中に、高校生が理解できる普遍的な言葉で明示しなければならないはずである。事後に言われたところでかえって悔しさが増すばかり、というのが大半の不合格者の思うところであろう。なお、当学院建築科では、問題に込められた出題意図を正確に読む方法を論理的に教えている。これを教えることができるのは当学院のみと自負するものである。
註2追記)2024年度入試の総合表現の問題文は、出題者が受験生に要求していることを、丁寧かつ誠実に伝えようとした内容であった。この問題文を書いた教員を高く評価したい。

註3)2023年度入試の公式解説はYoutubeを通して動画配信された。非常によい解説をしていたし、受験生の質問に答えようとした部分もあって大いに感心したのだが、動画が削除されたため、現在は2024年度版の動画しか閲覧することができない。なお、2024年度版の動画は旧来の秘密主義的な姿勢に戻って制作されており、価値のある情報は含まれていない。

註4)総合表現の参考作品の掲載に誤りがある。解答例Aと解答例Cの設問1解答用紙が入れ替わって掲載されている。当該学生2名が藝大建築科の教職員に誤りを指摘したが、掲載から4年経ってまだ直されていない。

2024年4月1日(月)〔建築FAQ