こんにちは基礎科です。
春季講習会、専攻コース2課題目は専門課題※に取り組みました。
※専門課題とは藝大入試の二次試験にあたる(一次はデッサン)各科専門実技(油画科は静物油彩、日本画科は静物着彩、彫刻は粘土塑造、デザイン科と工芸科は平面構成や立体構成など)
各コースの授業の様子や生徒作品をご紹介しましょう!
◯デザインコース、工芸コース
平面構成に取り組みました。
春ですね〜 モチーフの一つチューリップです!
初めて色彩構成に取り組む生徒が沢山いますので、最初は水張り講習から始めました。
デザイン科や工芸科の色彩構成課題では、B3パネルに画用紙を水張りし画面とします。
本番の入試はボードですが、高価なので普段は水張りした画用紙で制作をします。
色彩レクチャーの後は、基本的な技法の説明をします。使用する絵の具アクリルガッシュは、平塗り(色面の中を不透明に均一に塗る技法)や水彩表現をすることができます。平塗りをするときは絵の具を溶く水分量なども重要になってきます。
実際にモチーフのチューリップを水彩表現にてデモストをしました。
生徒作品の中から、数点をご紹介しましょう!
ゼリービーンズを映り込ませたことでモチーフの特徴が良く伝わってきます。絵の具を丁寧に塗ってムラがない方が更に魅力の出るモチーフもあります。
幾何図形というテーマがとても分かりやすくて良い作品です。花の色味も自然で綺麗に表現できています。
何か物語を感じる作品です。花の描写はとても上手なのでゼリービーンズの数を増やしたり疎密で目線を誘導すると更にデーマが伝わりやすくなります。
際(輪郭)の精度は少し気になりますが、黒背景にモチーフを大きく入れたことでとても目立ってきた作品です。大きく入れたモチーフはしっかり細部まで観察が行き届いています。
◯油画コース
静物油彩に取り組みました。
牛骨を中心としたモチーフです。
油彩は全専攻科の実技の中でも、最も多種多様な画材用具を使うかもしれません。
最初に基本的となる用具の解説をしました。
使う油も色々ありますね。乾性油に揮発性油、それぞれの目的に合わせて使い分けます。
油画コースでは全体の課題説明の後は、エスキースの段階から講師が生徒とマンツーマンの対話を行うことで各個人の世界観を大事にしています。
それでは個性あふれる生徒作品を数点ご紹介しましょう。
淡い色が綺麗で、手前の層を透けさせて後ろのモチーフを見せることで画面構成が複雑になっています。また画面の下の方に垂らしを上手に利用することで画面にメリハリがあっていいですね。
パースを歪ませることや、黒の形と線を巧みに扱うことで強くドラマチックな作品になっています。また色の組み合わせにインパクトがあり目立ちますね。
牛骨や瓶の描写がとても上手です。リアリティがありながらも青や赤の差し色を入れることで見たまま描く以上の表現ができていますね。
コンセプトを考えさせる作品です。白黒の世界と色の世界や右にある花がどのような意味を持つのか考えてしまいますね。色合いも全体的にグレーでありながらも程よく色が混ざっていて綺麗です。
壁や牛骨の質感を追うことで重厚感があります。色合いもブルーベースでありながらも単調に見えなくていいですね。また絵具を盛ったり垂らしを上手に扱うことで複雑な画になっています。
遠くから見た印象が綺麗な作品ですね。右下の台に乗っている布や牛骨のフェードアウトや瓶の描写が上手にできています。また壁も質感が面白く様々な色を用いて描いたことで見所が多いです。
◯日本画コース
静物着彩に取り組みました!
モチーフのチューリップが綺麗です!春ですね〜
日本画コースの着彩では透明水彩絵具を使用します。
チューブのものを買って、金属製のパレットに絵具を出して乾燥させ、彩色するときは筆の水で溶きながら使います。
H先生がデモストをしてくれました!
着彩のための鉛筆デッサンでは、この後に彩色をするとはいえ、かなりしっかりと明暗など調子ものせてデッサンします。
どれだけ鉛筆デッサンするのか?どのタイミングで彩色に入るのか?絵の具を溶く濃さは? など、デモストからは沢山のことを学べると思います。
ぜひ次に活かしてくださいね!
それでは生徒作品をご紹介しましょう!
光を感じさせる実感のある着彩です。影の形までしっかりと観察できており、床まわりに説得力がありますね!チューリップの葉っぱもリアルだね!!
全体がとても自然に描けています。特に花周りの空間がGood! コーヒーの容器やポットの形も綺麗で素晴らしい!
広々とした空間が上手に表現できています!モチーフごとの出間の差もしっかりと描き分けられていて、特にチューリップが素敵ですね!工業製品の形も丁寧に合わせられているので、絵がカチッとして見えます。
◯彫刻コース
石膏グデア首像の塑造に取り組みました。
グデア首像の本物は、ルーブル美術館にあるそうです!
ラガシュの王、グデア
イラク、ギルス 紀元前2120年頃
粘土を扱う前にまずは、回転台上の塑造板に心棒を組んでいきます。
木材を切ったりしてちょうど良い長さにします。
木材をシュロ縄で縛って固定していきます。
粘土は大きな塊を大胆に付けていきますよ!
塑造は基本、立って制作をします。またいろんな視点から見たり教室の隅まで離れて見比べたりと、縦横無尽に動き回りながら制作をします。
全専攻科の実技の中で最も体と体力を使う実技かもしれません。
◯デッサンコース
炭俵とリンゴの静物デッサンに取り組みました。
なんと、これと同じ炭俵が40年位前?の東京藝大日本画専攻の入試で出題されたそうですよ。
おそらく当時、入試で出たモチーフと同じものを探し出して調達したのだと思います。
すいどーばたでは、そんな昔のモチーフも大事に保管してあったりします。
デッサンコースでも藝大在籍中の講師が描き出しのデモストをしてくれました!
生徒作品をご紹介しましょう!
思い切って炭俵を半分切った構図です。台の手前から奥のリンゴまでの空間表現が明快です。
モチーフそれぞれの固有色も丁寧に比較しながら描いていますね!炭俵の観察もとても良いです。
炭俵は藁の荒縄で編まれてできていますが、荒縄”らしさ”が良くでています。”らしさ”を捉えるというのはデッサンにおいてとても大事なことです。
◯ビギナーデッサンコース
1課題目は卓上デッサンでしたが今回はイーゼルを用いた静物デッサンに取り組みました。
こちらも春らしい爽やかなモチーフですね!
藝大在学中の講師がデモストをしました!
制作の様子を大型のモニターにも映しているので、みんなも描いている席からも見る事ができます。
最初は柔らかいB系の鉛筆でアタリを取っていきます。
描き出しはB系の鉛筆の方が、修正もしやすく画用紙を傷める心配もありません。
どんなに上手な人でも修正ありきで描き始めます。
完成! 流石ですね!
どのように描いていいのか分からない、、という人はデモストを真似すると良いですよ。
すぐにはできなくても、具体的なイメージを持つことはできます。
それでは生徒優秀作品をご紹介しましょう。
出来るだけモチーフを大きく入れることでモチーフの細かい描き込みまでしっかりとできています。特にジョッキのガラスの描写が魅力的です。
ただ単に大きく入れているわけではなくモチーフの切り方にもこだわりを感じます。逆光の雰囲気も自然に表現できています。
モチーフを全部入れることで構図が小さくなりがちですが、この作品はモチーフの描写はもちろん余白の空間の美しさや水平な床の見え方もトータルで印象に残るデッサンになっています。
黒い調子の中にも幅があり力強いデッサンです。逆光の雰囲気もでています。光の当たっている場所の表現がもう少し丁寧になればより良くなるでしょう。
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春季講習会はこの後も3期(4/3〜4)と続きます。
これからのお申し込みでも参加することができます!
基礎科の2022新年度は、4月10日よりスタートします。
🌸🌸🌸この春からスタートを切ってみませんか?🌸🌸🌸
2022年3月31日(木)〔基礎科〕