こんばんは 基礎科です。
基礎科担当の指導スタッフは、各個人でも制作や作家活動を行っています。
そんなスタッフの自己紹介・制作紹介を兼ねたミニゼミを時折開催しています。
第3回目は、彫刻・デッサン担当の中里先生によるゼミを行いました!
中里先生は東京藝大彫刻科大学院を修了され、現在は木彫による作家活動をされています。
今春の日本最大級のアートフェア「アートフェア東京」ではブースで個展をされ、
作品が完売するなど新進気鋭の彫刻家です!
そんな中里先生が初めて美術の道を志したのは中学3年の秋。
地元(群馬県)の通っていた中学には美術の先生がおらず、近くの小学校の美術の先生に作品を見てもらいに通っていた頃の話からゼミは始まりました。
中里少年が初めて描いたデッサン。
とても親身な赤ペン添削がされています!
そんな良き先生との出会いもあって無事、群馬県立西邑楽高校美術コースに進学します。
高校入学して初めて描いた石膏デッサン
石膏デッサン二枚目にして風格があります!
当時は絵画系に進もうと思っていたそうです。
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当時、大好きだったというアンドリューワイエスの鉛筆や水彩による作品や、
ゴットフリート・ヘルンヴァインというウイーン生まれの超リアリスティックな水彩画の作家の作品なども紹介してくれました。
漫画やアニメからも刺激や影響を受けました。
AKIRA や スタジオジブリ 作品からの影響も大きかったと語ってくれました。
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でも、高校の彫刻の先生や面白い先輩に巻き込まれ彫刻室に入り浸っているうちに、
いつの間にか彫刻志望に…
当然、影響を受けた彫刻作品があったからですが。。
作品の解説も面白くて分かりやすい中里先生のトーク
思わず聞き入ってしまいます。
高校の彫刻室にあった画集で見ていたのがバロック時代の巨匠ベルリーニ「聖テレジアの法悦」
石とは思えない布の表現。
言葉はいらない。。
とにかく圧倒的でスゲー!!!
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当時、東京都美術館に来ていたミケランジェロの木彫作品「磔刑のキリスト」を見たことが、
木彫に興味を持つきっかけになったそうです。
そして決定的になったのが、、、
東京国立博物館にて高村光雲作の「老猿」との出会い。
彫刻科木彫を目指すことを決断したのでした!
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すいどーばたで2浪ののちに東京藝大に進学。
その後も中里青年は様々な作品と出会っていきました。
東京藝大彫刻科では、入学すると人体塑造が必修です。
そこで影響を受けたのが細川宗英の作品でした。
すいどーばたにも収蔵されているので、皆さんおなじみですね!
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球体関節人形や写真家として有名なハンス・ベルメールのスケッチや、現代美術のダミアン・ハースト
の本物の牛の親子をそのままホルマリン漬けにして作品にしていることに驚いたりもしました。
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佐藤 玄々「天女像 まごころ」1960 檜に彩色
日本橋三越にある巨大な木彫作品、是非彫刻志望ではない人も見て欲しいですね。
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いよいよ中里先生自身の作品の紹介です。
卒業制作作品「夜の獣」
3メーター近くある大きな作品です。
日本では近代に入って人間によって駆逐され絶滅してしまったオオカミ。
かつて人々は、農作物を荒らす動物を狩り山のバランスを保ってくれていたオオカミと共存していたそうです。
「おくちのなかの乙女」
増えすぎてしまっている鹿と人間との関係に思いを巡らせて制作した作品
「徘徊の王子」
制作中に先生のコッペパンをアトリエから奪っていった猫ちゃんをモデルにした作品。
なかなか不敵な猫ちゃん!
許せん!と怒りの中で制作されたそうですが、愛に溢れていますね。
群馬県の中里アトリエにはいろいろな動物達が顔を出すそうですよ。
「おはなしのひみつ」
人間が毛皮を取るために改良され作り出されたウサギの品種アンゴラがモデルになっています。
「おとなし」
「湖上の悪意」
民話”かちかち山”のラストシーンから着想した作品。
土壁の古民家をリノベした先生のアトリエ。
生きていく中で社会に対して感じたことを、動物の木彫作品を通して伝えていくという中里先生。
影響を受けた作品の紹介は、中世の巨匠から現代の作家、漫画やアニメまで多岐にわたりました。
そしてそんな影響を受けた先生は、さらに今の時代の空気を感じながら現在進行の制作をされています。
普段の実技指導や講評会だけではなかなか聞けない貴重なお話ありがとうございました!
これからも基礎科先生ゼミ企画していますのでお楽しみに!
2016年9月25日(日)〔基礎科〕