工芸科が主催するワークショップイベント「工芸素材体験」が、11月13日と20日で開催されました!
藝大工芸科の6専攻を無料で体験できるという太っ腹なイベントです!
各専攻講師には東京藝大工芸科の在学生やOB・OGが講師として集合!(きっとこれだけ沢山の藝大工芸科関係者がすいどーばたに集結するのは初めてかも??)
基礎科生も希望者が体験参加しました!
その様子をご紹介しましょう!
講師陣の紹介です(20日)
◯彫金(ちょうきん)_[ 銀線でつくるシルバーリング]
なんと本物の銀(SV925)ですよ!
「SV925」というのは一般的に銀製品に使われている銀で、「925」は純度を表しています。1000分の925が銀で残りが銅です。銀は柔かいのでそのままでは変形したり傷が付きやすいので合金にすることで硬さを出しているのですね!そんな勉強もできてしまう今回の体験ワークショップです!
最初に作業工程の説明
様々な専門工具の並ぶ彫金ブース
まずは作る指輪のデザインを考えます。
アルミの針金で試作をしてみたり。
デザインが決まったら本番の銀線を曲げて形を作っていきます。
こちらはロウ付けブース。
ロウ付けは、銀925よりも融点の低い銀合金を溶かして接合する技法です。
(この工程は体験者には難しいので講師が行いました)
リング棒でサイズ調整
形が出来上がったら磨いて仕上げです。
プロが使う専門工具のリューターで研磨しています。
完成! 素敵!!!
みんなで記念撮影!
(11月13日)
(11月20日)
◯鍛金(たんきん)_[ 真鍮でスプーン制作! ]
今回使う「真鍮」という金属は、五円玉でお馴染みの銅と亜鉛の合金です。銅も銀と同じく柔らかい金属なので、亜鉛を混ぜることで硬さを出しているのですね。(ちなみに50円玉や100円玉は銅とニッケルの合金(白銅)、500円玉は銅と亜鉛とニッケルの合金です。10円玉は銅色ですが銅分は95%。残りは硬度を出すために亜鉛と錫が混ぜてあるそうですよ)
最初に工程の説明から始まりました。
最初はどんなデザインのスプーンにするかエスキース(計画だて)です。
デザインが決まったら地金(真鍮板)より金工用の糸鋸で切り抜きです。
切り口を棒ヤスリで削ったりして形を整えます。
ヤスリがけもコツがあります。
スプーンの壺の部分を金鎚で打ってきれいに張らせます。
磨いて完成!ピカピカ!
(11月13日)
チンアナゴがモチーフなんだとか、、
(11月20日)
◯鋳金(ちゅうきん)_[ 錫で小皿制作! ]
錫は融点の低い(231.9℃)金属です。酸化しにくく光沢を保ち続ける性質があるので昔から装飾品や食器などにも使われています。
(アンデルセン童話で知られている「鉛の兵隊」は鉛ではなく錫ですね。錫のスプーンを溶かして作った兵隊のお話です。(鉛は人体に有害です))
彫金や鍛金と違い、最初は実材(金属)を弄るのではなく、型作りから始まります。
鋳金は、まずは原型を制作し、そこからとった型に溶かした金属を流し込んで(鋳造)作品制作をする専攻です。主に板材や棒材等を加工して制作する彫金や鍛金とは異なります。
MDFを糸鋸で切り抜いでいます。
この厚みが作品の小皿の厚みになります。
型の切り欠きは、湯口・湯道(金属を注ぐ口、流し込む道)です。
錫を溶解しています。融点が低いのでカセットコンロでも溶解することができます。
鋳型への流し込み(「吹き」といいます)
一番緊張する瞬間ですね。上手くいくためには温度や流しこむスピード・圧なども重要なようです。
型を外すのはドキドキの瞬間です
素晴らしい!しっかりと肌が出ていますね!
ふちをヤスリがけ。
軽く叩いてフチを起こしてお皿状に
完成!
みんなで記念撮影! 初めてとは思えないレベルの高い作品が出揃いました!
(11月13日)
(11月20日)
◯漆芸(しつげい)_[ 漆で加飾のお箸制作! ]
本物の漆を使用!色漆(顔料と生地呂漆を混ぜて制作)や蒔絵・箔絵の技法を使ってオリジナルお箸を制作!
「乾く」というと普通は水分が蒸発するイメージで乾燥している方がいいのですが、漆が乾くには空気中の水分の酸素を取り込んで硬化するので、湿気が多い方がいいのですね
最初に漆についてのレクチャーがありました。
いろいろなサンプルが!見ているだけでワクワクしてきますね
漆というと一般的には黒や朱のイメージが強いですが、顔料を混ぜるていろんな色にすることができるそうです!
手板でいろいろな技法などを予行練習
いざ本番!
めっちゃ集中! 繊細な作業が続きます。
漆は乾くのに時間が掛かるので、完成作品は後日郵送です。
完成が楽しみですね!
◯陶芸(とうげい)_[ 手捻りで器制作! ]
「人にささげる器をつくる」をテーマに手捻りで器制作です。テーマ素敵!
陶芸は完成までは一日ではできませんので、形をつくろところまでをやり、それを担当講師が工房に持ち帰り、乾燥させた後に皆さんの希望の色(釉薬)で焼き上げてからのお渡しです!
釉薬のサンプルです。ここから選びます。どれも綺麗!迷いますね〜
先生がお手本を見せてくれました。回転台を使って手捻り制作です。
さすが!
楽しそう!
だいぶ形になってきました!
高台を削っていますね
1日の終わりに講評会です。
陶芸も1日でできることは成形までです。乾燥後に素焼き、希望色の施釉、本焼きを先生がやってくれてお届けになります!
◯染織(せんしょく)_[ 藍染でトートバック制作! ]
無地のトートバックを最初に藍染液に入れてベースの染めをします。
型紙を作って糊(染めたものが抜ける薬品が混ぜてある餅状のもの)をトートバックの任意の場所に置いていって、抜染して熱処理したら完成!
「紺屋の白袴」の紺屋とは染め物屋さんのことです。元は藍染の職人さんのことだったようですね。
最初に作業工程や藍染の歴史などレクチャー
まずはトートバックを染めます。
どうやら先生、ズボンも染めているようです笑
良い色ですね〜!
型紙制作の説明をしています
細い!!!
型紙制作
糊と抜染剤を混ぜたものを型紙で置いてます。この糊の乗っているところの染料が抜けて模様がでてきます
抜染しています!
模様が出てきましたね
なんと両面で違う図案! 短い時間で頑張りましたね!
乾かしてアイロンかけたら完成!
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短い時間でしたが「工芸」の世界に触れられたのではないでしょうか
工芸は制作するだけでなくこの後実際に生活の中で使える喜びもありますね
人々の生活を豊かにしていくことのできる仕事でもありますよ!
首都圏の主要美大では、東京藝大、多摩美術大学、武蔵野美術大学、女子美術大学で工芸の勉強をすることができます。
◯東京芸術大学 [工芸科 (彫金、鋳金、鍛金、漆芸、陶芸、染織、ガラス、木工)]
◯多摩美術大学 [工芸学科(ガラス、陶、金属)・生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻(染織)]
◯武蔵野美術大学[工芸工業デザイン学科(金工、木工、ガラス、テキスタイル、陶磁)
◯女子美術大学 [デザイン・工芸学科工芸専攻(染、織、刺繍、陶、ガラス)
もうすぐ冬季講習会が始まります。
高校1・2年生の皆さんは基礎科になります。
基礎科工芸コースのご案内です。
皆さんのご参加お待ちしております!
2022年11月25日(金)〔基礎科 , デザイン・工芸科〕