基礎科 専門課題〜デザインコース・工芸コース_形体の巻

こんにちは、基礎科デザインコース、工芸コースです!

東京藝大のデザイン科や工芸科の入試では二次試験で色彩(平面構成)と共に形体(立体構成)が課されます。

デザイン科の形体は、主に水粘土制作による課題と紙を主とする素材制作による課題が過去に出題されています。
工芸科では、ほぼ水粘土制作による出題です。

デザイン系の立体の基礎勉強はほぼ予備校時代でしかできないということ、デッサンにおいて立体感を出すための最良の勉強は立体を制作することでもあります。
そんなことも踏まえ、入試科目であるか無いかに関わらず、基礎科デザイン・工芸コースでは全員で立体構成の課題に取り組んでいます。

 

今回の専門課題週間では、1週目は「薪」を集中して観察をしそれを水粘土で塑造しました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表面ばかりを緻密に見すぎると、離れてみたときに平面的表現になってしまい「薪」らしい印象が出ないことがあります。
離れて見たときにも”らしい”見え方になるように明暗のメリハリやその単位を意識することが大事になります。
今回は短い制作時間でしたが、その中ではなかなか良いバランスで表現できたのではないでしょうか。

 

2週目は、1週目の”観察”より各自が見つけた、薪の要素・特徴を抽出し立体構成する課題に取り組みました。
この要素・特徴というのは、各自が見つけた薪の ”魅力”と置き換えても良いと思います。
その”魅力”をどのように”演出”(構成)して観る人に届けるのか?

薪の今にも剥がれそうなゴツゴツした樹皮を幾何形態と組み合わせ、平面仕上げの面との対比で上手く演出しています。

 

薪の繊維組織的な要素を有機形体の広い曲面との粗密対比で見せていますね。曲面の仕上げも綺麗でとても良いです!

 

薪は元々、厳しい自然界で成長した樹木の一部ですから、当然生命感溢れる動きや捻れがあります。
この作品はあえて、表面描写的塑造をせずに、それらの要素を抽象化することでよりイメージを強く伝えることができています。

 

一見、鳥の羽のような全体感のこの作品は、木目に沿って薄く剥がれかけた木片からのインスピレーションを受けたのでしょうか

水粘土を感じさせない全体の軽やかなフォルムと端に向かってリアルに表現された木繊維感の表現が良いですね。

 

三角錐のような形が頂上に向かうにつれて捻れの動きに変化していくところに植物の生命を感じる作品です。

そして、薪より抽出された全て異なる質感の表情が三面それぞれに与えられ良い対比を生んでいます。

 

 

 

こちらの作品も樹の持つ強力な動きやうねりを感じます。
表面を全て描写表現するのでは無く部分的に抽象化することでよりそのイメージを強く伝えています。
全体の見え方がが鈍重にならないよう、まるで重力から離れ浮遊しているような見せ方も良いですね。

 

繭のような有機的フォルムと木が割れた時の断面のようなササくれた木目の面。
この作品も、上手く対比を使うことで、より木目の質感を演出して見せています。

 

ーーーーーーーー

土日クラス・日曜クラスは今週末、平日クラスは来週7月6日(火)で一学期が終了です。
あっという間ですが、皆さん着実に力を付けていますね!
来月から始まる夏季講習会は平常授業よりも制作時間が長く、集中して実技に取り組むことができます。
さらなる実技力向上を目指していきましょう!

 

 

2021年6月28日(月)〔基礎科