先端芸術表現科 2023

※準備中です

H.Mさん

合格大学:東京藝術大学美術学部先端芸術表現科

出身校:星林高等学校
 

私は、今から約一年前の四月、通っていた一般大学(文学部)を休学し、すいどーばたの先端科に通い始めました。

 そして、半ば勢いで先端を目指し制作を開始した私を待ち構えていたのは、「わからない」の連続でした。講評での先生方のコメントもイマイチわからない。どこがどう理解できないのかもわからない。何故あの作品が高く評価されるのかもわからない。自身が作りたいものもわからない。そもそも、作るということがわからない。当時の私には、周りから圧倒的な遅れをとっているという認識が常にあり、そんな状態で参加する講評会が、堪らなく辛く苦しく悔しい事も時にはありました。
 しかし私は、そんな状況でも、いや、そんな状況だからこそ、とにかくすいどーばたに通い続けました。体調や私用等で行けない日以外は休まない、とにかく足を運ぶ、ということを意識し続け、全ての講評会に参加する事を目標にしていたのです。今思えば、これが、私が一年足らずで合格を掴むことが出来た事の、最大のポイントだったのではないでしょうか。
 これは決して、「予備校に頑張って通え!」と言いたい訳ではありません。(私も休むべき時はしっかり休んでいました。)これまでの人生で制作経験のなかった私にとっては、すいどーばたに来る、つまり、私の作品(考えている事やその表現)を他者(先生方や同期達)に見てもらう、そしてそれに対する何らかの反応を貰う、というコミュニケーションが必要だったという事なのです。
 そして、夏頃までは課題に応えるだけで精一杯、カリキュラムについていく事で手がいっぱいだった私も、いつしか、先生方の話を理解できる様になったり、自身が作りたいものを前向きに考えられる様になったり、自身で「これは絶対ポートフォリオに載せたい!(=藝大の教授に見てもらいたい!)」と思える作品を作れたりする事が増えていきました。私は、この経験を以て、雑草魂で勝ち取る合格もあるんだという事を、先端受験を予定している方には伝えたいと思います。
 
 私は、この一年間を、「受験の為の制作をしていた」というより、「自身の制作が受験に繋がっていた」という様に感じています。こう思えるのは、一受験生としての私ではなく、一人の作家としての私に向き合ってくださった先生方のおかげでもあります。そんなすいどーばたに通えて本当に良かった、一年間をここで過ごせて本当に良かったと、私は心からそう感じています。
 そして、親身になってくださった先生方をはじめ、一年間私に刺激や活力を与えてくれた同期達、作品制作に協力してくれた家族や友人達に、心から感謝します。この一年間、そしてこれまでの二十年間をバネとし、私の制作は今後も続いていくのでしょう。

A.Uさん

合格大学:東京藝術大学美術学部先端芸術表現科

出身校:鹿児島修学館高等学校
 

私は高3の春からどばたのオンラインコースを受講し始めました。私の受験生活は「現役時代」「浪人時代」という2つのフェーズに分かれており、今思い返すとそれぞれで過ごした時間は対照的でした。

現役時代、私は学業と並行しながらどばたの授業を受講していました。1週間程で作品を制作する短期課題や、数ヶ月に渡って作品を制作する自由制作課題、1次試験の小論文対策などを上手くスケジュール管理しつつ、計画的に実行していくことが受験生活を充実させる鍵でした。

また、私が幼少から暮らしている鹿児島でのフィールドワークや制作活動は、私の創造的思考力を大いに刺激し、地方での活動が強みになったと感じています。それらの活動は、土地に関する自身の記憶を頼りに「今の自分はどのように構築されていったのか」という問いへの解釈を少しずつ見つけていく経験でした。このような自身に内在している「分からなさ」へアプローチする方法を模索し、それらを表現する、という作品制作において根本的に必要な思考力をどばたの授業を通して培うことができたと思います。先生方の指導も常に「生徒の自立」を念頭に置いたもので、自身の成長の糧になったと感じます。

浪人生活では自由に使える時間が増えた為、本格的に創作活動を行うと同時に、実力不足であった小論文の強化を重点的に行いました。現役の時よりも規模の大きい作品を制作することができ、その分色々な経験を積むことができました。どばたでは小論文の授業しか受講していなかったのですが、現役時代に培った作品制作に対する感覚が日々の制作の中で非常に頼りになりました。そして、それらの経験は結果的に小論文における文章表現の幅を広げるための礎になったと思います。

浪人生活中、暇があれば常にやっていたことがあります。それは「旅」をすることです。ある時は山に行き野宿をし、またある時は複雑な都市の中をぶらり歩きました。それは、まるでグラデーションのように変化する色々な境界線の上を少しずつ横断する体験でした。「都会と田舎」「山と川」「知っている土地と知らない土地」など、これ以外にも、世界には言葉で表すことのできない、曖昧で感覚的な世界が連続的に存在しています。「旅」では常にその世界における自分の在り方を考えさせられました。「今の自分はどのような関係性の中で生きているのか」現役時代、内側に向けられていた私の創造的思考力は「旅」をすることによって自然と外側と内側の両方に向けられていったのです。そういう意味において「現役時代」と「浪人時代」で過ごした時間は対照的でもあり、何処か本質的には繋がっていたようにも思えます。

N.Fさん


合格大学:東京藝術大学美術学部先端芸術表現科

出身校:八王子学園八王子高等学校 現役

私は元々すいどーばたの彫刻科クラス夜間部に高3の5月から在席していました。
塑像をしていくうちに私が好きなのは造形物そのものではなく空間がその造形物に与える影響なのだと気づき、12月の冬期講習から先端芸術表現科クラスに転移しました。

入試まで3ヶ月を切っているのにもかかわらず、何も出来ていない私に対して価値観を広げるために常に向き合ってサポートしてくれました。
私の発想案をまず否定せずにとりあえず形にしてみようのスタイルは私自身の世界観を広げるきっかけにもなり、長所と個性を極限まで伸ばして入試に挑むことが出来たと思います。

すいどーばたは生徒と講師の距離が近いのも勿論、生徒と生徒の距離も近いのでお互いに相談し合ったり客観的に見られる機会が多いのはとてもありがたかったです。
特に周りの人の作品が見れる講評会ではひたすらにいい所を吸収したり、制作段階でどう表現しているのかよく見ていました。

普段からうまく考えや気持ちをうまく言語化できず、比喩表現だけで終わらせてしまう私に対して的確な指示をしてくれる講師や周りの言葉の表現力に常に救われていました。

ただ、もしすいどーばたに入学しようか悩んでいるのなら早めに入った方が良いと私は思っています。
合格発表までの間、受験という縛りから開放されたおかげか、いきなりやりたい事、表現したい事が増えたり、自分の作品を見返してもっと発展させれたらと後悔する事が多かったからです。

講師の方々やいきなり学科を移転したいと言って困らせたにもかかわらず前向きに接してくれた母や高校の先生方、私をサポートしてくれた周りの環境や人々に感謝しきれません。いつも本当にありがとうございました!

H.Mさん


合格大学:東京藝術大学美術学部先端芸術表現科
女子美術大学 立体アート専攻

出身校:旭ヶ丘高等学校
 

私は一年間浪人をして先端芸術表現科に合格しました。

私は元々美術科の高校で油絵を専攻していました。しかし、油絵を描いていくうちに、自分が伝えたいことを一枚の絵の中にまとめることが不可能だと感じるようになり、絵画科以外の学科を調べはじめました。そこで出会ったのが、先端芸術表現科でした。

私は美術科の高校にいたので、現役の時は講習会と入試直前の期間だけすいどーばたに通いました。上京して、すいどーばたに正式的に入学したのは、浪人生になってからでした。

油絵を描いていた時よりも、先端科の対策をしている時の方が、自分の作品を作っているという感覚がありました。現役の時は、とりあえず勢いで作品を作っていました。それはそれですごく楽しかったし、いい経験になったのですが、浪人生になってからの方が、自分の作品と向き合う時間が増え、芸術とは何なのかについて考えるようになりました。

私は浪人生になってから、時間に余裕ができたので、できるだけ沢山の展示に行くようにしていました。様々な作品や表現方法にふれて、それを消化して、自分の作品に生かすという繰り返しでした。その繰り返しをしていくにつれ、段々と作品の作り方を掴めていき、作品のクォリティも上がっていきました。そして、対策をしていくうちに、なんで先端科を目指すのか曖昧だった気持ちも、自分には先端科しかないという気持ちへと変わっていきました。

浪人生の時は、とにかくどばたで一番になってやる!という思いで一年間頑張りました。すいどーばたでは、どんな作品を作っていても、その作品を否定されることはありません。その人の特性に合ったアドバイスや指導をしてくれるので、とても自分との相性が良かったです。私は一次試験でデッサン選択だったので、デッサンも細かく指導をしていただきました。本番で自分の長所を生かしたデッサンを描くことができました。

自分が現役の時には信じられなかったことですが、今では一年間浪人をして良かったと思っています。現役で先端芸表現科に受かったら、自分の作品に対する思いが未熟なまま藝大に進学をしていたと思います。

私は一年間浪人をして、様々なことを経験して、やっと今自信を持って藝大に入学することができそうです。

すいどーばたが親身になってサポートしてくれたことがその自信に繋がっているのだと思います。

現役生でも、浪人生でも、芯を持って地道に努力すれば、必ずその努力は報われます。頑張ってください!応援しています!

N.Kさん


合格大学:東京藝術大学美術学部先端芸術表現科
武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科

出身校:日本航空高等学校 現役

 

私は、高1の6月からどばた先端に通い始めました。芸術に関して無知の状態で入ったため、初めのうちは、周りに付いていくのに必死でした。しかし、時間をかけて先生方の言葉を咀嚼したり、色々な美術館・ギャラリーの展示を見に行ったりすることで、少しずつ自分のやりたいことが見えてきたように思います。どばたでの日々は、自分自身と対話する、貴重な時間でした。

二次試験が終わった帰りのバスで涙が溢れました。それは、これまで自分が作品に誠実に向き合い続けられたからこそ出た涙なのだと思います。自分が何かにそれだけ情熱をかけられる人間であったこと自体、驚きでもありました。

芸術が好きで本当に良かった。どばたの環境が、私の気持ちを後押ししてくれました。先生方、先輩方、同級生、家族、友人、私を助けてくれた全ての人に、感謝申し上げます。3年間、ありがとうございました。

見守り体験記:お母様

高1の春、先端に通い始めた当初は、先輩方の作品やプレゼンに圧倒され、対して自身の作品の拙さ・知識量の不足を思い知らされ、毎回ひどく落ち込んでいました。親としては、最初は基礎科でゆっくりデッサンをやっていた方が良かったのかと心配した時期もありました。

しかし、このように早い段階から、先生や先輩方からたくさんの刺激を繰り返し受けたことで、娘はより深く思考し、より貪欲に制作に向き合うようになれたのだと思います。

また、自分の作品の講評だけではなく、他の生徒さんの作品講評も本気で聴いて、自分の中で消化吸収したことが、娘を成長させたと感じています。

この3年間は、芸術について悩み、思考し、熱く語り続ける娘に、時に巻き込まれ振り回されることもありましたが、家族にとっても刺激的で楽しい日々でした。
先生方、ご指導、応援、ありがとうございました。