※2025年は準備中です
M.Hさん
合格大学:
東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科
出身校:香川県立高松工芸高等学校 現役
『努力と奇跡のいいバランス』
私は高一の冬から先端を目指し始めました。私は美術科高校に通っていたため、進路については早めに決めることになっていました。初めは東京の美大のデザイン科に行こうとしていましたが、調べていくうちに「なんだか物足りないな」と思うようになりました。そこでさらに調べ、先端を見つけ、試験対策の面白さとポリシーに惹かれて「ここに行きたい!」と強く思い、そこからは先端受験を軸にした高校生活が始まりました。
高二の春季講習で初めてどばたの先端科に参加しました。デッサンや、総合実技や、コンセプトを練って自由に制作すること、そのどれもが新鮮で刺激的でした。私はその時の自由制作課題の講評で「逃げ」を指摘され、納得してしまったのが悔しくて、それからは逃げずに考える!制作する!をモットーに、できることから始めていきました。不安な時はネット上に公開されている全ての先端・合格体験記を読みあさっていました。
高二の春季から一年以上経って、高三の夏季講習に参加したのが二度目のどばた先端でした。そういえば、高二の時は高校での制作が山ほどあったので、予備校に通うことはしませんでした。どちらかをおろそかにしてしまいそうだったからです。ただ、そんな中でも自主制作を発表する機会があれば、なんでもいいから何か作ろう!と、色々な課題やタスクと並行して作品を作りました。
話を戻して、高三の夏季講習について。私は春から本格的に制作を始めたものの、抽象的なコンセプトに収束しがちで、ヴィジュアルの面白さが先行してしまうタイプでした。しかし夏季講習の最終日にあったワークショップ課題で、実体験に基づく作品制作の感覚を掴むことができました。そこから地元での作品制作は、楽しく素直なものを作ることに集中しました。1ヶ月に2、3作品を目標に、高校の実技の時間や土日休みはほとんど制作に費やしました。秋ごろに一度他の大学を考えたりもしましたが、結局先端に戻ってきました。他の大学を考えたからこそ、なぜ先端なのか、先端で何をしたいのかについてじっくり考えることができ、この経験はのちに志望動機につながっていきました。
そして地元で最後に大きな作品を作って、入直に参加。入直ではポートフォリオに集中しました。私の作品はほとんど地元で作ったものだったので、先生方に作品を紹介するところからのスタートでした。それでも期日に間に合うように指導してくださって、本当に感謝しています…。一次や二次の対策は、最後まで粘って試験の前日まで伸び続けていました。各課題ごとに反省を言語化して、次の課題ではこうしたい!と明確にしていたのが効いたのだと思います。
私はいわゆる講習会生で、どばたの先生方や生徒は私の作品を知らない、高校でも先端に特化した方法論はない、という受験においては賭け要素多めの環境でした。しかし、そんな中でも、講習会を誰よりも大事にする意識をもち、身の回りの出来事をよく観察し、考え、誰かと議論すること。自分なりに工夫して、地味でもいいから何か作り続けること。その蓄積が良い結果をもたらしたように思います。
最後に、親身になって指導してくださったどばたの先生、地元の先生、作品に協力してくれたみんな、家族、先輩、運、などなど…。私と関わってくださったたくさんの人や物事に大いに支えてもらった受験生活でした!すっごく楽しくて流れ星みたいな一年!本当にありがとうございました。
F.Kさん
合格大学:
東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科
武蔵野美術大学 造形構想学部 映像科
東京造形大学 造形学部 写真学科、映画・映像学科
東京工芸大学 芸術学部 写真学科、映像学科
出身校:浜松北高等学校 国際科
『私の合格はガストのサンデーと努力によって成り立っている』
私は高校2年の頃、写真や映像に興味を持ち始め、地元静岡から新幹線で、東京にあるどばたに、週に一回の日曜コースで通い始めました。高校3年の夏に、今思えば遅すぎたのですが、オンラインでも金・土曜コースの小論文対策を始めました。
結果から話しますと、現役では一次落ちでした。前述した通り、小論対策を始めるのが遅かったというのもありますが、一番の要因は、「小論文は何を書くものなのか」を根本的に理解していなかったことだと思います。(今思えば「論」ではなく、ひたすら「エピソード」、かつブラックボックス化した自分の心情ばっかり書いていたような、、)
また、小論の基本である、構成という概念すら頭から抜けていました。そのことにようやく気づき、抜本的な意識改革が出来たのは、一浪の冬に、授業で配られる参考解答例などを、自分なりに一から読み直した時からです。文章の流れや接続詞のレパートリー、文末表現や、書くべき要素のバランスさ加減などの細かい分析を、予備校帰りのガストですることを日々の日課としました。この行為を行った週から、何をどう書くべきなのか、自覚して答えられるようになり、急激に小論が書けるようになりました。先生にも驚かれたことを覚えています。
浪人してからも、現役当時と同じく静岡に拠点をおき、日曜日だけ本校に通う生活を続けました。そんな私が一貫してやっていたことは、自分の講評はもちろん、他者の講評から得られることも「ひたすらメモする」ことでした。学びに来ている者なら、メモは当然の行いではあるものの、ただでさえ私は現地の予備校に通える時間が少なく、芸術の話ができる環境が限られていたため、自分の為になること、なりそうなことを、がむしゃらに自分の中に取り込み、内面化することを全力でやり続けました。予備校は、作品としてアウトプットした物を見てもらう場であると同時に、様々なことをインプット、学べる場であることを忘れないで欲しいと思います。(作るだけでも、予備校に通うだけでも大変なことだからこそ、踏ん張って、考えを深められる機会を意識的かつ有意義に過ごして欲しいです。)
浪人をして、自分の中で大きかったものは、「藝大に行きたいから対策をする」のではなく、「自分のやってきたことを藝大に見てもらいたい」、「これからも追求したいことがあるから、藝大に行きたい」という意識の変化です。そのような意識に至ったのも、自分のルーツや生活に大きく関わることなど、実感に基づいたテーマで制作を続けたことで、藝大用のお飾り作品ではなく、良い意味で自分の為に作品があるようになったからです。それが可能になったのも、この1年間で、自分自身のことに改めて向き合う時間ができたこと、予備校の先生方や友達が私のことを内面を通じて見て、接してくれたということが大きいと思います。おかげで、作品とか、芸術とか、そういうのを抜きにしても、人として成長出来る機会を得ることが出来たことが、私の中で一番の宝物です。
ここに書ききれないことがまだまだ沢山ありますが、この辺で〆ようと思います。すいどーばたでお世話になった先生方、友達の皆さん、本当にありがとうございました。そして次は、これを読むあなたたちの番です。全力で生きて、制作を頑張ってください!心の底から応援しています。取手で待ってますからね〜〜!
H.Gさん
合格大学:
東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科
『切実に曖昧で熱い』
私は地元で総合大学を目指して一浪して、ひょんなことから進路変更をして武蔵美のクリエイティブイノベーション学科に入学しました。その年の夏休みに「折角東京いるんだし、面白そうだから」という漠然とした理由で先端の受験を決めて、二学期からどばたに通い始めました。
私の先端受験は足りない時間に終始焦りながらも、楽しい経験だったと思います。
私は共通テスト利用で美大に入ったため、実技経験や作品制作の経験がほとんどない状態からのスタートでした。初めの頃は、作品とは何なのか、コンセプトとは何なのか、などがなかなか掴めませんでした。だから、講評会で他の人の作品を見たり、その人たちや講師の方々に沢山質問しました。なぜそのメディアや手法を選択したのか、自身の作品とそのコンセプトの中でどこがズレて感じたのか、どんなアーティストが表現の参考になるか、などです。そのようにして、次第に自分の中で「作品」と言えるものの基準が形成されていきました。また、先端の小論文は一般的な大学入試の小論文とは異なり、最初は戸惑いました。ただ、それを解いていくうちに、作品制作でも活きる力(観察力、描写力、論理的に伝える力)や、先端芸術表現科の思考のスタンス、物事の眼差し方がよく分かってきます。「制作」と「小論文」の二つによって作品を制作する力が相互に醸成され、成長していく感覚が制作のモチベーションに繋がっていきました。
私は合格しましたが、自身の作品のテーマやコンセプトの表現に100%納得して完成できたことはありません。そういうもどかしさは、時間やお金、技術力、リサーチ量などの不足、無知によって受験生の方々も感じることが多いかもしれません。しかし、講評会までに全力を出して作り切り、提出したり、それを経て講師のアドバイスを受けて再制作を続けました。さらに、小論文でもやり直しを投げ出さずにやり切ることを意識しました。不完全でも毎回くらいついて、講師の方々のコメントを聞くことで、作品や小論文の可能性が広がることばかりでした。受験の理由や将来は未だ漠然としたままですが、受験を通して、アート以外の思考においても確実に成長できたと思える半年間でした。
どばたは、自身の表現を通して沢山成長できる場所だと思います。大学入学後も、地に足をつけて、自身の表現を探究し続けたいと思います。
S.Sさん
合格大学:
東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科
武蔵野美術大学 造形学部 芸術文化学科
『合格へのカオス理論』
私はもともと理系の大学を目指していましたが、次第に学ぶ内容と自分の感覚がずれていることに気付き、美術の道に進む決意をしました。
現役時代は別の予備校で対策をし、試験本番のデッサンも「そこまで悪くないのでは?」と思っていました。しかし、結果は不合格。大きなショックを受け、浪人生活が始まりました。予備校を変えて新しい環境に挑戦したものの、自分が何をしたいのか分からなくなり、まるで真っ暗な迷路に放り出されたような気持ちになっていました。行き先が見えないまま、先端にもう一度挑戦したいのかどうかさえ分からない状態でした。そんな時、美術館や講評で他の人の作品を見たり、触れたりすることで、少し視界が開け、「やっぱり自分も作りたい」と感じるようになりました。その気持ちを信じて、再び前を向いて歩き始めました。
受験生活を通じて、私が大切だと感じたことは「駄作でもいいから作り続けること」と「自分の感覚を大切にし、それを観察すること」です。
私は納得できる論理がないと作品が作れないタイプでしたが、先生に「とにかく作り続けることが大事」「講評は『作品』を提出する場所」と言われ、リサーチをできる限り重ねた上で、納得できなくても「えぇぃ!」と気合と勢いで作品を完成させるようになりました。正直、講評に出したくない作品も、無かったことにしたい作品もありましたが、そうした試行錯誤の中で、だんだん自分が納得できる作品を作れるようになっていきました。無かったことにしたかった作品も、納得できた作品も根っこでは結局繋がっていました。たとえ作品に関係なさそうでも、食指が動いたらどんなことでも試すという、フットワークの軽さが大切だとしみじみ思います。
また私は、美術館や講評で他の人の作品を見るとき、自分なりに感想を持ち、「なぜそう感じたのか」を分析していました。すると、自分にしかない感覚が少しずつ明確になっていくのを感じました。この作業は、何となく講評を聞くよりもずっと楽しかったし、刺激になっていたと感じます。
精神面の話をすると、受験自体が若干トラウマになっていたこともあり、お恥ずかしいことに、浪人生活を通して私はかなりウジウジしていました。でも、その中で「過去」や「未来」ではなく、「今」に意識を向けることで、不安が和らぐことに気づきました。そして今に集中することで、未来に待ち構えている受験のための制作ではなく、本当に好きなことに目を向けられるようになりました。不安を感じやすくて困ってる方は、意識してみると良いかもしれません。こうして、ついに私もウジウジモードから脱出成功!……かと思いきや、入試直前にはあっさり逆戻り。実際、一次の前日も二次の前日も泣いて過ごしました。 それでも本番では、周りの人の力を借りながらですが、気持ちを切り替え、なんとか乗り越えることができました。だからこそ、これから受験をする方には、不安を感じても「こんなスーパーウジウジ人間でもなんとかなったんだから、きっと私もなんとかなる」と思ってもらえたら、少しは安心できるかな、なんて思います。
紆余曲折の一年でしたが、私はこの浪人生活があって良かったと思っています。この一年でこれから制作する上で大切な考え方の糸口をようやくつかんだ気がするからです。それは親身にサポートしてくださった、どばたの先生方のおかげだと思います。私のウジウジも含めて包み込んでくださった先生方、友だち、家族には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。これからも、どばたで得たものを糧にしながら、自分にしかできない表現を模索し続けていきたいと思います。
M.Yさん
合格大学:
東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科
名古屋芸術大学 美術領域 現代アートコース 特待S
出身高校:愛知県立 旭丘高校 美術科
『人事を尽くして天命を待つ』
私は美術科の高校に通っていたということもあり、卒業制作の延長でなんとなく現役の時は藝大の日本画を受験しました。その後一浪が決まってしまった時に、私はもうあと一回しか受験させてもらえなかったので、もう一度自分がやりたいことを考え直し、最後の一年はどうせならやりたい事や興味のあることを追求しながら受験に望める科を探したところ、先端芸術表現科がドンピシャで自分に向いてそうだと思い、一浪目の四月から地方からでも参加できるオンライン生として参加しました。
オンラインでは素描と普段の制作に関する面談などを一対二(自分対講師二人)で行ったり、他の同級生がいる中で制作した作品の写真資料などを使い、リアルタイムで講師が講評したりします。日曜の普段の制作の講評では講師が詳しく講評してくれるのはもちろん、同級生もGoogleドキュメントに各々が思ったことや助言、疑問、新たな視点などを講師が話している間にも書き込むことができ、次の作品の制作に同級生からの助言が生かされたこともありました。
金土の一次対策はデッサンを選択していて、自分では分からなかったデッサンの特徴や長所を生かすような指導、回答に至るまでの問題の解釈の仕方を教わりました。
私がこれから受験しようとしている人、今まさに受験対策をしている人に伝えたいことの一つ目は、日々の制作やどばたでの受験対策の日々、一次試験二次試験の時に自信がなくなる時があったとしても一時的だったらそれは普通です、でもそれを引きずらずにそれ以外は自分と自分の作品に自信を持つことが大事だと伝えたいです。
そのためにはその時できることをやり、作り始めた作品を愛せるくらい思考を巡らせて向き合い自分の中でより良い状態で完成に持っていくことがまず必要だと思います。
私の場合、対策を始めたのが受験の約一年前で、この一年間で制作した作品ほぼ全てでファイルを完成させました。初めの頃の作品はとても未熟で今見ると少し恥ずかしいですが、当時は寝る間も惜しんで考えを絞り出し出来ることを全てやり尽くしてやっとの思いで完成させていました。そのおかげかファイルを作っている時も完成度などに後悔がなくファイルに入れる抵抗感もありませんでした。
二次試験もそうでした。どんなものを作ろうと二日目の面接は必ずあります。そこで如何に課題に向き合い制作し自論を自信持って語れるかが重要なのではないかと思いました。
二つ目は知見を広げることです。高校が美術科だったことと都心にあったことで高校時代から美術館やギャラリー、百貨店の展示などに通い詰めていました。浪人中は地元にいることがほとんどで通い詰めるようなことはできなかったですが、高校時代の作品鑑賞の記憶は確実に役に立ったと思っています。オンラインでデッサンを選択するならPinterestやSNSで先端に限らず他科の人のデッサンも見て目を肥やすことです!
人事を尽くして天命を待つ
とにかく自分の「好きなこと」を後悔のないように全力で追求して愛と熱意をこめて制作することが未来の自分を助けることになると思います。
R.Wさん
合格大学:
東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科
多摩美術大学 美術学部 彫刻学科
東北芸術工科大学 美術学部 彫刻学科
出身高校:富山県立 高岡工芸高等学校 現役
『全部、自分』
私は高1の夏から先端に興味を持ち始め、冬期講習で基礎科のデッサンコースを受講しました。元々作品を作ったり何かを表現したりするのが好きだった私にとって、なんでもできる先端科は非常に魅力的でした。しかしこの頃はまだ「行くとしたら先端かな」くらいのぼんやりとした感覚で、受験を現実のものとしては捉えられていなかったような気がします。
高2の春に初めて先端科の講習を受講したときの、全身に稲妻が走ったような感覚は今でも覚えています。自分にない技術や考え方を持っている人など、自分の知らない面白い人たちがこんなにもいるのかという衝撃とワクワクに襲われました。こんな人たちと一緒に学びたい、絶対に先端に合格したいと、自分の思いが実感の持てる本当のものへと変化した瞬間でした。そこで春季講習後すぐに親に相談し、2年の間はオンライン日曜コースを受講し、3年は長期講習と入試直前講座を受けることに決めました。
私が先端科の受験を通して大切だと感じたことは、「自分に嘘をつかないこと」です。伝えたいことよりも作りたいものが先行する私にとって、作品制作は楽しかった反面、コンセプトには非常に苦戦しました。自分の想像する「先端らしい」に寄せてしまうという癖があり、動機や制作意図などまで偽って説明してしまうこともありました。その癖に気づき、直せるようになったのは高3の冬で、その頃にはもう使える時間は限られていました。本当の「先端らしさ」は「その人らしさ」であるとようやく理解することができた私は、これまで制作してきた作品の動機や制作意図、コンセプトの文章などをまるまる全て自分の本当の気持ちにできる限り近い言葉で書き直しました。ただ作りたかっただけの作品もそのまま正直に書き、「なぜ作りたかったのか」を考えることに時間を使いました。また、作品ではないからと切り捨てていた漫才や遊び程度の制作物も、自分の興味の核となっているということを理解し、ポートフォリオに乗せることを決めました。自分らしさとは、自分の良さとは、自分にしかできないこととは何かをじっくりと考えたあの時間は、私にとって非常に貴重で大切なものだったと思います。
受験は分からないことだらけで、不安で、怖くて、辛くて、逃げたくなる時もあります。ただ、どんな時も自分の好きなこと、楽しいと感じることにだけは嘘をつかないようにしてほしいです。本当の自分が一番面白くて、魅力的で、パワーがあるのにそれを隠してしまうのは本当に勿体無いです。
最後にはなりますが、今までこんなめちゃくちゃな私を見守り、サポートしてくださった先生方、友達、家族のみんな、その他協力してくださった方々、応援してくださった方々など、多くの人の支えのおかげで今の私があります。感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。これからも自分らしさを大切に、やりたいこと全部、全力で楽しみます!!