基礎科_『シュルレアリスムと日本』を観に行ってきました🚶

こんにちは😃基礎科油画コース講師のFです❣️

いつもは“どば基礎”アトリエからお届けすることが多い基礎科のブログですが、今日は少し趣きを変えて、お出かけしてきた様子をご紹介します。

板橋区立美術館へ『シュルレアリスムと日本』展を観に行ってきました。🚶🚶

 

板橋区立美術館は2019年にリニューアルされ、明るく心地の良い空間に生まれ変わりました。一点一点の作品により没頭して向き合うことができそう。

会場内の展示風景は撮影NGだったためご紹介できないので、入り口すぐの気持ちの良い吹き抜けをパシャリ📸

さてさて、本題の『シュルレアリスムと日本』展についての感想を少しだけ。

シュルレアリスムの起源となる、詩人のアンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表した1924年からちょうど今年で100年。日本のシュルレアリスム表現の歴史を、こんなにしっかりとまめられた展覧会は珍しいのではないかと思います。作家約90名、120作品を展示。会場スペースに対しての作品の内容が濃く、かなり見応えのある展覧会でした!

シュルレアリスムと言えば、“シュール”という言葉で日常で耳にする機会もあるように、何となく 現実離れした幻想的なファンタジックな世界、或いは少し奇妙な怪しい雰囲気 というざっくりしたイメージで捉えてる人も多いかもしれませんね。

しかし、実はシュルレアリスムは日本語に訳すると【超現実主義】と言います。現実を超える。現実の更に向こう側までもを追求しよう。これまで疎かにされていた夢や無意識の世界を信頼し、そこに基礎をおこう。そうすることが私たちの心の本質を見出す手段になるのではないか?と試みた表現方法です。単に現実離れした幻想的な絵ではなく、むしろ現実を現実描写以上にしっかり捉えようとした結果生まれた表現と言えるのではないでしょうか。

 

 

会場に入るとまずは、フランスの詩人たちが詩の世界で創始したシュルレアリスム運動の紹介から始まり、続いて1929年に日本絵画界で初めてシュルレアリスム表現を発表した東郷青児、古賀春江、阿部金剛ら言わずと知れた巨匠たちの作品を紹介。そして、その影響を受け関東・関西に拡がっていった同表現や、戦前最盛期の盛り上がりの様子を紹介していました。

その次のスペースでは、大戦の本格化に伴い徐々に弾圧されていく自由な絵画表現、暗黒期へ入っていく様子が展示。軍事体制下で睨まれるシュルレアリスム表現と、治安維持法違反の嫌疑による作家たちが拘束された事件。召集を受けて従軍し戦死した画家たちの作品などを紹介されていました。印象的だったのは、戦時下の作家ら拘束事件のことを知らせるために書かれた吉井忠の手紙や、弾圧された状況が記録された日記。読むと文面から当時の様子が生々しく伝わってきました。日記のページの端にちょこっと落書き的イラストが描かれてある感じも、人間性が伝わってくるようでした。

最後のスペースは、戦後の目まぐるしく変わっていく生活や従軍体験を(戦前に学んだシュルレアリスム表現で)描いた作品群が陳列されており、絵画表現で日本の社会と必死に向き合ってきた作家たちの紹介で締めくくられていました。

 

 

日本国内で巻き起こったシュルレアリスムという一つの表現手法を通じて、当時の日本社会の様子や、その時代を必死に生き抜いた芸術家たちの人生を感じ取ることのできる展覧会でした。

改めて、芸術表現とはその時代を反映するものなのだなと気付かされました。

 

トイレの横の壁にはこんなミニガイドが。日本のシュルレアリスム運動を築いた福沢一郎や、靉光、福沢のアトリエで学んだ杉全直や山下菊二の説明がイラスト付きで面白く分かりやすくまとめられています。

 

図録は図版だけでなく文章も多めで読み応えバッチリ!👌一冊買って、日本のシュルレアリズムを学び直すための辞典になりそう。

 

1階のスペースには「池袋モンパルナス」の画家・古沢岩美(1912佐賀〜2000東京)が使用していたイーゼルが!かわいいシールまで貼ってある❣️

戦前「池袋モンパルナス」で暮らしたのち1947年から亡くなるまでは板橋区に住居があったご縁だそう。学芸員さんにお話を伺ったところ、同スペースで使用されている一枚板テーブルとチェストも旧蔵された貴重なものだそうです。

皆さんも気候が良いこの時期、ぜひお散歩がてら気になる美術館にお出かけしてみてはいかがでしょうか❗️❗️❗️

 

 

 

 

 

 

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2024年4月19日(金)〔基礎科