日本画科 全国公開実技コンクールでした!

先日、11月22日から23日にかけて日本画科の全国公開実技コンクールが行われました。
普段の授業よりも多くの受験者の中で行うコンクールは、自分の腕を試す良い機会になったかと思います。

今回は本番の芸大二次試験と同じく、一人に1セットずつモチーフが配布されました。全てのモチーフを自分の思うままにできる反面、構図に対する責任も増します。個々のモチーフに対するこだわりや描き込みも、全ては「良い構図」という容れ物あって輝くものです。たくさんの絵が並ぶコンクールのような機会に、良い構図の感覚を培っていきたいですね。

制作が終了したら、すいどーばた の講師が採点を行います。今回は二時間以上かけて作品を吟味しました。
先ほど述べた「良い構図」はこのように多くの絵が並んだ時にもっとも力を発揮します。
ある程度の距離をとって見た時に、心地よい色の配分、自然な花の形、ゆったりとした床の広がりなどがまず目に飛び込んできます。そのように、第一印象で大まかに順位が振り分けられたあと、より細かいポイントで評価されていきます。

今回のコンクール一位はこの作品でした。花やりんごなど、目立つ位置にあるモチーフが過不足なく描き込まれており、構図もこれといった弱点のない作品です。手前のりんごが重さまで感じるようにしっかりと描かれているのに対し、奥の紙風船は光がふんわりと当たったように明るめに描かれており、それぞれのモチーフの特性がきちんと表現されています。

二位はこちら。モチーフを取り巻く空気感が秀逸な作品です。手前のモチーフ群の表現もこだわりが見られ、この作品に対する作者本人の意識が垣間見えます。構図も一人一卓の利点を活かした工夫のあるものになっています。

三位はこの作品です。りんごや葉の自然な色味や描写が魅力的です。
彩度の高い原色の美しさを活かすには、中間色の豊富さが必要です。特に葉っぱの緑は難しい色味で、どうしても人工的になりやすいモチーフですが、この作品ではうまく緑以外の色味を使用しながら自然な色味に抑えています。

 

ここでは紹介しきれませんが他にも力のはいった作品が多くありました。
コンクールでの結果は大切ですが、順位に一喜一憂しすぎず、次に繋げられるものを見つけていってもらえたら、と思います。

 

 

 

2020年11月24日(火)〔日本画科