油画科主任の市橋です。
自画像コンクールも含め油画科の自宅課題(静物、手)の進み具合はどうですか?まだ自宅という環境での制作に慣れていない、画材等が揃っていなくてなかなか進んでいないという声も聞こえてきます。
もちろんその気持ちもよくわかりますが、時間制限のあるどばたでの制作と違って今はいくらでも一つの作品に時間をかけることができます。こんな状況だからこそじっくり自分の表現について探求してみるのも良い機会ではないでしょうか。
また画材等が揃っていなくても・・・いや、むしろそうだからこそ工夫してより面白い表現を見つけるチャンスかもしれません。スーパーのチラシにマジックで描いたり、ダンボールにコーヒーやお茶を絵の具がわりに使ったりと工夫次第できっと面白い表現が見つかります。
で、今日は私がどばたで浪人していた当時に描いた自画像を手前味噌な感じで申し訳ありませんが見てもらおうかと思います。(自画像はちょうどコンクールの課題ですね)考えてみると描いてからもう30年以上経っているのですが・・・。
当時は自画像の課題は大嫌いでした。なんで面白くもなんともない自分の顔なんかをわざわざ描かなければいけないんだ!ってずっと思っていました。正直に話すと自画像課題から脱走したこともあったように記憶しています。
で、きっかけはなんだったかよく覚えていないのですが、顔を外面的な造形物としてではなく、自分の意識が表出した内面的な造形物として捉えてみたら少しはやる気になるのかな?なんて思いながらほとんど鏡を見ることなく3時間ほどで一気に描いたのがこのデッサンです。
今あらためて見るとなんとも拙い表現ではずかしいのですが、反面今では絶対に描けないあの当時だからこそ描けたデッサンだなとなんだか愛おしくも思えてきます。
このデッサンそのものがみなさんの参考になるとは到底思えませんが、受験生で、外出自粛中で、乏しい画材で・・・そんな「今」でしか描けない絵って必ずあると思います。そしてその作品は十年後、二十年後にきっと自分にとっての「宝物」になるはずです。是非頑張ってはじめてみてください。
みなさんが色々と試行錯誤した「今」でしか描けない魅力的な作品が見られることを楽しみにしています。
2020年4月28日(火)〔油画科〕