日本画科 2018

剱持 優 さん

群馬
高崎市立高崎経済大学附属高等学校 卒

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻

「対話しながら」

クラスを転々としながらまた新しいクラスでの4浪目の春。

まだまだ浪人してしまっている自分に呆れながらも、どこかで吹っ切れているようなそんな気持ちで描く日々でした。
そんな中、モチーフにどう寄せていけばいいのか、自分の絵にどうしていきたいか、という先生のアドバイスから、その両方と対話する時間が増えていきました。
それから悩みながらも、少しずつ以前と絵が変わっていくような気がしていきました。
勢いでどうにかしてた絵が、前より自然に、その物らしくなっていく瞬間を感じ取れていけるような事が多くなり、嬉しい、楽しいと思うようになりました。
それでも描く気が起こらなくなってしまった時もあり、気分転換やイメトレをしたりと、絵と自分との程よい距離を探りながら、また画面と向き合っていこうとしていきました。
一年ずつ一年ずつと色々なことを知り学べたことは、自分の人生にとって本当に貴重な経験となりました。

最後にこんな自分をずっと応援し続けてくれた父と母に、最後まで手間をかけさせてしまった先生方に、この予備校で出会えたたくさんの方々に感謝します。本当にありがとうございました。

横橋 成子 さん

埼玉
県立大宮光陵高等学校 卒

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻

「自然に」

私のどばた生活は高校三年生の4月(本格的には9月)から始まりました。

現役はとりあえず回りのみんなに追いつきたくてがむしゃらに描いていました。時間内に終わることも少なかったです。
本番では焦りすぎて顔の比率を間違えて一次落ち。
落ちて悔しさもないくらい当日自分の絵を諦めてしまってたことを今でも後悔してます。

受験にどう向き合ったら良いのか分からず迎えた一浪目。
夏までは一次すらこんなんじゃ通らないって言われたりボロボロでしたが、夏か秋に、はかり棒の使い方を改善したら形が比較的合うようになり…先生の指導もちょっとずつ理解できるようになり始め、2回目の試験やっと一次合格。
しかし、初めての二次、緊張して教室に入るとローズマリーと菩提樹の実…焦りと緊張で思うように絵はかけませんでした。

何となくわかることが増えてきた!こんどこそ!意気込んで迎えた二浪目。
まだまだ、追い越せないような先輩たちがいっぱいの中、ちょっとでも追いつこうと先輩の真似をしたりして描写を突き詰めました。
三度目の試験一次通過…二次も普通の着彩が来た!と思って普段通りやりきったつもりでした。
しかし、またも不合格。

やりきったのに落ちて、何が悪かったのかいまいち分からず迎えた三浪目。
先輩は少なくなり、何が正解かもわからなくなっていました。

そんなとき先輩に「自然に」という言葉をかけてもらいました。
自然てなんだ?となりがらも、自分の絵は今まで視野が狭くて自然な空間を作る全体感が乏しいんだという事にようやく気づきました。(おそいっ(笑))

でも、具体的にどうしたらいいのかも分からなかったので参作室にこもって理想のイメージを固めることが増えました。
そのうち、参作や自分の絵の見方が少しずつ変わっていきました。
やみくもに全部描くのではなくこことここに手を入れる、そのためにはこう組んだ方が描きやすいなど、自分なりにルールを決めていきました。

コンクールなどは上手い人の絵ばっかを気にしても焦るばかりで自分の絵が見えなくなると思って、自分の絵を楽しみながら(細部描き込みながら)最後はちゃんと責任を持ってまとめる(はなれる)!ことを徹底していきました。

現役から二浪までは小手先の技術に憧れ細部の描き込みで満足していたのが、
三浪になると小手先の技術なんて誰でも持ってるし自分より上手い人なんていっぱいいることを思い知らされて…全体感(絵の中の自然さ)を意識しだしたのです。

いまだに、全体感を理想まで持っていけてはないですが昔の自分よりは考え方がよくなった気がします。
今年の二次はモチーフが多くてけっこう焦りもしましたが、全体感を意識して手を入れられたと思います。
(全体を意識した分描き込みを恐れたりもして、理想の完成ではなかったのですが…(笑))

人によっては細部の書き込みが必要な人や全体を見る力が必要な人がいると思いますが、今の自分が何を持っていて何が足りないのかそれをしっかり見据えて行動に移すことが合格への近道なんじゃないかと思います。
(特に自分の持っているものは良い武器になるかもしれないので本当に大切にしてほしいです。)

最後に、生意気な私に最後までご指導くださった先生方、いつも楽しいどばたやたぐクラ、高校のみんな、いっぱい慰めてくれた先輩方、好きなように浪人させてくれた家族。
そして、いつも応援してくださったたくさんの方々。
感謝してもしきれないくらいたくさんの方々に支えられてここまでこれました。
本当にありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いいたします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

百武 恵美 さん

東京
私立啓明学園高等学校 卒

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻

私が美術の道に進みたいと決めたのは高校1年の秋で、その後すぐすいどーばたの講習会に毎回参加するようにしました。
高校2年の夏には芸大の日本画科に進みたいと考え、そこから1浪までの2年半すいどーばたでお世話になりました。

現役の時は先生が仰っていた「昼間学校に行ってる間や移動中の暇な時はずっと絵のことを考えて、そして夜どばたに来たらとにかく描きまくる。」の言葉を常に意識して生活しました。
その効果がやっと表れ始めたのは入直に入ってからで、それまでただ坦々と課題をこなしていただけでしたが課題毎に必ず何かを学ぶ事が出来るようになれた気がします。
それまでの自分の絵や先生の言葉を信じて試験に挑んだものの二次試験の直前に色々あってそれまで続いていた緊張感が途切れて二次落ち。

浪人生になってからはそれまでと比べて圧倒的に描く時間や自由な時間が増えたので、どばたで絵を描く以外の時間は参考作品の研究をしたり自主練習をしたりいかに自分のコンディションを試験本番に向けて一番良い状態に持っていけるかを考えて自己管理の本を読んだりしました。
また、浪人してからは現役の時と比べて一課題ずつ大切に、絵が上手くいかなくても必ず何かを学ぶことを意識してました。
試験当日はそれまで描いたことのなかったモチーフばかりでしたが、それまで学んだ事の集大成のつもりで描いたら今までで一番理想の絵が描けたように思います。
私が何か受験生の方にアドバイス出来ることがあるとしたら、頻繁に先生に絵を見てもらい、聞きたいことがあれば何でも聞くことです。
優しく丁寧に答えてくれますし、受験の事だけでなくこれから先、絵の道に進むにあたってためになることも沢山教えてくれます。

最後になりましたが、私が単身で帰国し浪人までさせてくださった両親、指導のみならず様々な事を教えてくださった先生方、生活面などで支えてくださった親戚家族、切磋琢磨し時に迷惑をかけることもあった友人、本当に感謝しています。
浪人したけれど、特にこの1年沢山学ぶことが出来ました。ありがとうございました。

中村 瞭佑 さん

東京
都立総合芸術高等学校 現役

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻

高2から日本画をやりたいと思った僕は母に頭を下げてどばたに通わせてもらいました。
どばたの当時の夜間部の先生は夜間部に入ることを薦めてくれました。
高2で夜間部に入って受験生と同じ部屋で絵を描いたという経験は僕にとってとても良い経験でした。
絵のレベル、メンタルの向上はこの経験があったからこそだと思ってます。

先生が多いということにも魅力を感じていました。
それぞれの先生のアドバイスをいいとこ取りして自分なりの解釈で絵を描くことはとても楽しかったです。
現役で藝大にいくことが目標のひとつだったので、合格できて今はとても嬉しいです。
お世話になった先生方、本当にありがとうございました。

金子 茉実 さん

東京
私立文京学院大学女子高等学校 卒

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻

私が初めてどばたに来たのは高校2年生の冬でした。高校は普通科で、初めて本格的にやるデッサンに私は毎日胸を踊らせながら描いていました。

けれど受かるためにはただ楽しんで描くだけでは駄目なんだと思い知らされました。

現役で1次落ちをし1浪目。ひたすら「形」について言われ続けました。私はずっと形をとることの意味がわかりませんでした。それでも形を合わせようと必死になって合わせていました。しかしそれが逆に視野を狭くし自分を追い詰めていることに気が付きませんでした。ちゃんとやっているはずなのに思い通りにいかない絵に私は自信をなくし、辛くなって逃げ出しました。

絵を描くことが楽しいことではなくなっていきました。

もう描きたくない、描いても辛いだけだ。私はしばらくどばたに行けず、ずっと閉じこもってばかりいました。それでも私が描くことを諦められなかったのは周りの応援や気にかけて心配してくれた先生、家族。そして何より絵を描くことが大好きだったからです。

どばたに戻り上手くいかない日々が続きましたが、三浪目でもう少し楽に考えて描くことにしました。そのおかげか以前より視野が広くなったように感じ、物事を全体で掴めるようになりました。形を合わせるということが単にそこだけを見て合わせるということではなく、ものの置かれている状況や関係性など様々な観点を通して見た全体なのだとようやく気がつくことができました。本番はモチーフを見て美しいと感じた所を大事に普段よりも自分らしく楽しくかけたように思います。

遠回りをしたけれどそれがなければ今の私はなかったと思います。
何も言わずに描くことを中断してしまい、たくさんの人に迷惑をかけました。それでもずっと指導をしてくれた先生や心配をしてくれた家族、切磋琢磨した仲間の存在は私の大きな糧になりました。感謝してもしきれません。大学ではその恩を返せるよう日々努力していきたいと思います。本当にありがとうございました。

斎藤 梨華 さん

東京
私立桐朋女子高等学校 卒

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻

私がすいどーばたで過ごした一年の中で、「自分が綺麗だと思って描いているだけでは、人に美しいと思わせることができない」という気づきが自分の価値観を大きく変えました。
今まで、見たまま描かなくてはいけない、モチーフに嘘をついてはいけないという固定観念に捉われて、ただ描き写すだけのつまらない絵ばかり描いていた私は、先生に「こんな絵欲しくない」と言われ、忠実さに加えて、見えている以上に魅力的に、よりモチーフがそれらしく見えるように引き立てて描くことの大切さを実感しました。
 
試験当日は天候があまりよくありませんでしたが、予備校で描くのとは比べ物にならないほど光が美しく、特に一次試験は石膏の存在自体が絵画的だと感じました。
試験中、終わらないかも知れないという焦りに駆られ、不安で一杯になったりもしましたが、私がモチーフに感じた感動が絵を通して少しでも伝わった結果、合格できたと思います。

浪人することを聞き入れて、応援してくれた両親と、自分以上に自分の絵を理解して下さった先生方、その他、多方で支えてくれた友人、知人には本当に感謝しています。
この一年、一瞬でした。
お世話になりました。

吉川 薫平 さん

神奈川
県立弥栄高等学校 卒

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻

僕が芸大を目指し、すいどーばたに来たのは、高校2年の時、すいどーばたのレベルの高い参考作品に感動し、強い憧れを持ちました。
ですがこの憧れが僕にとって大きな壁となります。
現役の時、その憧れから参考作品や上手な先輩方の真似ばかりして、やり方や技術だけが先行し絵を描くにあたり大事なことに気が付かず二次で落とされました。
一浪になり、まず参考作品の見方を変え、自分の絵と目の前にあるモチーフを観ること、自分に足りないものはなんなのか、ゆっくり考えた。
入試前やっと自分らしく、モチーフを自然に魅力的に描くという当たり前なことに気づけ、楽しく描けた。
浪人生活、苦しくて辛かったけど友人や先生方に支えられ僕は合格することができました。ありがとうございました。
最後に受験生の皆さん、受験絵画とはいえモチーフに愛を持って作品だと思って描いてあげて下さい。

藤野 七帆 さん

東京
私立普連土学園高等学校 卒

合格大学:
東京芸術大学 絵画科日本画専攻
女子美術大学 美術学科日本画専攻

今度で最後にする、昨年の春、私はそう決めました。
当時、私は基礎科からお世話になっていたどばたを離れていました。
「自分の絵は正しくない」と落ち込むのが嫌で、家でも予備校でもただがむしゃらに描き続けました。
そんな絵を自分でも良いと思えず、次第に追い詰められていきました。
私の目標が「大学に入って日本画を学ぶ」のではなく「藝大に入ること」になっていたのです。
そう気づいてからは合格のために描いている絵が自分にとって何の意味もないように思え、私の中の藝大に対する熱意が無くなりかけてしまいました。

それでも絵を描くことを諦めきれず、「見捨てない」と受け入れてくれたどばたに秋から通うことにしました。
入ってからも不安定で満足いかない絵しか描けませんでしたが、先生は諦めず熱心に指導してくれました。
段々と「その熱意に応えるために頑張ろう」と思えるようなり、単に技術を上げるよりも、どんな風な絵にしたいのか、と自分の意志を持って描けるようになっていきました。
そして今年、二浪にして初めて二次試験まで行くことができました。
いざ教室に足を踏み入れると不思議と緊張せず、「自分の思うように描けばいいんだ」と楽しんで描くことができました。
あと10分で試験終了という時、自分の絵が今までで一番思い通りに描けていることに気付き、辛かった記憶も相まって思わず涙が浮かびました。
「結果はどうであれ、私の出せる力は全て出し切れた。」完成した絵と離れるのを惜しみながら教室を後にしました。

今までたくさん迷惑を掛けてしまった家族に、特に私のわがままに付き合って励まし続けてくれた母に、恩を返すためにも絵を描くことに真摯に向き合っていこうと思います。
自信がないくせに頑固で、決して良い生徒ではありませんでしたが、それでも、どんなにひどい絵を描いても、最後まで期待し続けてくれた先生、再び描くことに向き合わせてくれたどばたには心から感謝しています。