広がる世界に踏み出す準備を。
映像による表現は今、かつてない広がりを見せています。それは写真、映画、アニメーション、メディアアートといったジャンルのみでなく、映画館やテレビ、インターネット、ゲーム、美術館、公共空間にまで及ぶ、発表の場の広がりを含みます。
その中で活躍する人材を輩出するために、大学はそれぞれの特色を打ち出し、様々な入試形態でその資質を見ています。
すいどーばたの映像科では、多様化する入試に対応することを通じて「日常における観察に裏付けされた豊かな想像力」と「物事を多角的に捉える思考力」を身につけ、映像に携わる作家としての基礎を学ぶための教育を行ないます。
選べる授業スタイル
映像科では、志望校の入試形態や各々の環境に合わせてフレキシブルに学べるように、以下の3つの受講スタイルを推奨しています。
①金・土・日コース + 各講習会 (春・夏・冬季・入試直前)
②金・土・日コース + 初夏・秋季講座 + 各講習会
③通信教育 + 初夏・秋季講座 + 各講習会
①は金土日コースと春・夏・冬季・入試直前講習を組み合わせた基本となるスタイルです。
②は①に加え、ピンポイントに実技や総合型入試対策を強化する年二回開催の講座を加えたスタイルです。より入念な準備で受験に臨むことができます。
③は遠方在住、あるいはやむを得ない事情により通学ができない場合におすすめです。各講座や講習会では、オンライン授業の設定があるコースもあ
ります。通信教育の詳細はこちらをご覧ください。
映像科のオンライン授業
Google Workspace(Googleの教育機関向けサービス)を使用し、一人ひとつのアカウントを発行し、通年で利用します。授業ではそのアカウントを使って、classroom、meet、driveといったGoogleのアプリケーションを使用し、オンライン通話での指導を受けながら制作します。講評はアトリエから中継配信するため、在籍する全生徒の作品の閲覧、講評が受けられます。カメラ、マイク付きのPC、タブレット、スマートフォンのいずれか(PC or タブレットを推奨)とwifi環境があればどなたでも受講できます。
どばた映像科の授業内容
すいどーばた美術学院映像科では「作ること」「思考すること」「観ること」を3つの柱として授業を行います。自身が将来的にやりたいこととの関係の中で受験対策を行うことでモチベーションを高く維持し、オリジナルな発想や思考法、表現方法を身に着けていくことができます。
イメージ表現
武蔵野美術大学映像学科の感覚テストなどの実技課題に対応した課題です。絵と文章を用いて、課題文から想起した映像イメージや企画を表現していきます。与えられたテーマを掘り下げ、自身の体感や経験と結びつけながら、映像作品としてのビジョンを固めていきます。
小論文
武蔵野美術大学映像学科、日本大学芸術学部、東京造形大学などで出題される小論文では、モチーフの観察や文章の読解を経て、テーマに従い600~800字での論文を書きます。出題された課題を普段の生活にフィードバックしながら観察力を高め、明解な文章を書くことを目指します。
デッサン
表現の基礎となる観察力を培うために、年数回カリキュラムに組み込んでいます。
人物や静物をモチーフとして、鉛筆での表現に慣れていきます。武蔵野美術大学映像学科、東京造形大学の入試ではデッサンを選択することができます。デッサン受験志望者には別途課題が出題されます。
作品研究
映画、アニメーション、現代美術…。世界は未だ見ぬ映像作品で溢れています。毎回のテーマに沿ってセレクトされた映像作品を鑑賞します。様々な映像制作の技法や作り手の個性に触れ、知識を深めつつ刺激を受けて感性を高めます。
映像実習 ・ 写真実習
写真作品やショートムービーなどの映像作品を制作し、基礎的な映像制作の過程を経験します。ここで作った作品や培った経験は普段の制作にフィードバックできるのみならず、各大学の推薦入試の対策としても活かすことができます。
総合型入試対策
ポートフォリオ、ディスカッション、プレゼンテーション、小論文、面接など、志望する大学の入試に対応した対策を行います。
留学生入試対策
近年の競争率上昇に伴い、日本人と同レベルでの作品制作を目指した指導を行います。武蔵野美術大学映像学科、日本大学芸術学部、東京工芸大学などに対応します。
年間スケジュール
学生作品
感覚テスト ¦ 作品解説
課題
下記の文章から想起する場所のイメージ、あるいは出来事のイメージを解答欄に絵と文章で表現しなさい。
くぐりぬける
(2023年度武蔵野美術大学映像学科入試再現作品)
感覚テストのポイント
感覚テストは絵と言葉の組み合わせによって映像的なイメージを表現する課題です。ある眼差し(カメラ)によって映像における時間と空間を表現します。
起承転結を含んだ壮大な物語を想定する必要はなく、あるワンシーンを切り取り、そのイメージを具体的な形で伝えることが大事です。そのためにまずは、いつ/だれが/どこで/なにを/なぜ/どのようにしているのかといった設定を明確にします。
次に、その場に流れる音、風、匂いや温度などの体感を想像し、適切なアングルの絵と言葉で世界観を映像的に表現していくことがポイントです。
入試では近年短文が与えられます。課題の文章をどう解釈していくかということもまた重要になります。そこから思い出す自身の経験や、短文そのものを観察して定義付けをし、様々な角度から発想することが独自の作品につながります。
解説
A
この作品がユニークなのは、コンサート会場におけるロビーとホールの内外を一枚のビジュアルとして左右に表現している点です。文もそれに適合するようにレイアウトされており、合唱コンクールの出番を終えホール会場のロビーへ出て、廊下の赤い絨毯と二階へ続く湾曲した階段を登るまでが前半。続いて二階の小窓越しに結果発表の様子を見て自校の進出を知り、小さく拍手をした後、鼻歌まじりにステップを踏むという展開が後半です。周囲に鳴っている音による時間の経過と空間内の移動がスムーズに表現されている点が秀逸です。また、空間の内外を隔てる「音の壁」の効果は絵と文の双方で効果的に扱われており、全体的にバランスの優れた作品となっています。
B
退屈な日本史の授業中。眠気に誘われる中、ふと友人から借りた教科書に描かれた棒人間の落書きが動き出します。パラパラ漫画の棒人間は教科書に印刷された明朝体の文字をさながらアスレチックのように登り降りし、かと思えば東京オリンピックの写真の中に入り行進する選手たちの間を通り抜け、はたまた教科書のページのへりに立ちとそこからジャンプするという自在な動きを見せます。まるで実写とアニメが融合したような独自の発想です。現実と夢、二次元と三次元、形と空間、印刷と物質……それら境界の狭間を見事にくぐり抜けたユーモアのある作品として、入試においても高い評価を受けています。
C
冬の早朝、雪の降る駅のホームで一人の女子高生が電車を待っています。すると向かいのホームに小学校の同級生を発見します。しばらく疎遠でかつてより少し派手になった友人も主人公と同じく受験生であり、手には参考書が握られているのがわかります。すると、カラフルなコンテナを引いた貨物列車が雪を巻き上げながら線路を通過し、そこで起きた風によって友人は参考書を落とし見失ってしまいます。その呆気にとられた友人の様子を見て、少し離れたところに落ちた参考書を発見した主人公は、ホームをつなぐ階段をくぐり、それを手渡しに行くために駆けます。朝日が顔を出したばかりの薄暗さ、巻き上げられた雪が覆う視界、その中で私が友人を見ている一方的な視点、線路によって隔てられたホームの空間、その隔たりをつなぐ通路。朝焼け色に染まるまでの刹那的な時間をドラマに描いた爽やかな良作です。
発想力 「学びの窓」という言葉から、作品や提案のアイデアを考え、紙面上に絵や文章を用いて描きなさい。(2023年度東京造形大学合格作品)
小論文 水の入ったペットボトルの観察からテーマを導き出して、自由に論じなさい。
(600字・2023 年度武蔵野美術大学映像学科合格作品)
写真ワークショップレクチャーを受け一人一冊の写真集を制作しなさい。
映像実習 スマホやタブレット端末を使用し「魅力的な動き」をテーマに撮影、編集しなさい。
視覚表現 「情報が創造する祝祭」ということを考えて、そのテーマで視覚表現してください。 (2023年度多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース合格作品)
感覚テスト「世界の終わりと◯◯」上記の〇〇に任意の言葉を入れて文章を完成させ、その文から想起する場所と出来事のイメージを絵と文章で表現しなさい。
デッサン 配布したモチーフを自由に配置して描きなさい。(モチーフ:水の入ったペットボトル、ピーマン・2023 年度武蔵野美術大学映像学科合格作品)