日本画科 2020

塚田 めぐみさん

東京
都立狛江高等学校

合格大学:
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻

これから

私がすいどーばた美術学院に通い始めたのは、高2の冬からでした。デッサンのデの字も分からない私に、先生は水張りから鉛筆の乗せ方まで、基礎の基礎から丁寧に教えてくださいました。初めてやる石膏デッサンは、楽しくて仕方がなかったのを今でもよく覚えています。
 あっという間に高3になり、すいどーばたに週6日で通う日々が始まりました。目の前の自分の課題を片っ端から潰していくような日々でした。2次試験終了数分前、塗り終わった絵を数歩下がって見てみれば、癖全開の、まさに自分が描いた絵、実力通りの絵がそこにありました。結果は不合格。しかし、あまり悲しくはありませんでした。自分の実力不足を痛感していて、今もし大学に入学しても、自分の描きたいものを思うように描くことはできないだろうと感じていました。あと1年間修行できる。そんな気持ちでした。
 目の前のモチーフを描く。リアルに。リアルさとはなにか。見た通り同じ色をのせていけば良いと思っていた私は、空間感の乏しい、窮屈な絵を描いていました。試験本番1ヵ月前、行き詰まりを感じ先生とお話をしたところ、目の前のモチーフに縛られていたことに気が付きました。そうして初めて、絵としての美しさを感じながら好きに描く、という自由を手に入れることができました。2次試験終了30分前、ああでもないこうでもないと組んでいるうちにしわくちゃになってしまったアルミホイルの皺を描き過ぎて、アルミホイルでは無い気持ち悪い何かになっていることに気づき、やらかした、と泣きそうになりながら修正。少し前の私ならその皺を、私にはこう見えました、と言わんばかりに描き込んで終わっていたと思います。
 最後に、いつも親身になって絵について考えてくださり、体調面まで気にかけつつ指導してくださったすいどーばたの先生方、毎日お昼ご飯を共にし、語り合い、学校での時間を活き活きとしたものにしてくれた大切な友人達。離れていても応援してくれた中高の友達、先生方。そして、どんな時もあたたかく見守ってくれた家族のみんな。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

福島 文葉さん

東京
都立総合芸術高等学校

合格大学:
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻

「諦めないこと」

私は高校から続けてきた油画をやめ、日本画に転科を決意して4浪目の秋にどばたに移りました。覚悟はしていましたがいざ始めてみると道具から描き方、受験方針の大きな違いに戸惑い、周りの画力の高さに圧倒されました。
転科から3年目を迎えても着彩は終わらせるのが手一杯の状態で、コンクールも上位に入れず納得する1枚を描けなくてずっと苦しい思いをしてきました。しかし筆が追いつかなくても最後まで妥協せずモチーフと冷静に向かい合って見たままに表現することが大切だと気付き、夏から入直にかけて実力を少しずつ伸ばすことができました。また私が色々と悩んで上手く筆が運べていないと、先生が私にしか出来ない表現や絵画性があってそれを大事にして絵を描けば良いと言ってくれ、心が軽くなり気負わずに画面と向き合えるようになりました。

油画科の時に何度か描いてきたことのある想定や生き物を描くことが好きな自分にとって今回の二次試験は本当にラッキーな課題でした。合格発表で自分の番号を見つけた時、今までの浪人生活の中で学んできたことや対策してきたことは何一つ無駄では無かったと思うことができました。

今まで沢山支えてくれたどばたの先生講師陣や最後まで見守ってくれた家族、切磋琢磨した予備校の友人達、心の底から本当に感謝しています。多浪してきた分、これからの時間を無駄にしないよう後悔のない学生生活を送りたいと思います。

杉原 出雲さん

埼玉
県立芸術総合高校

合格大学:
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻
東北芸術工科大学 芸術学部美術科日本画コース

「自分の足で」

自分の絵に最後まで自信を持てませんでした。構図を考え抜いたつもりでも穴は絶対にあるし形を合わせきったと思っても必ず何処かは狂っています。技術不足、理解不足、1年でそれらを全てを克服することは難しい。掴んだと思ったら手離すの繰り返しでした。そうではなく、モチーフに感動しその魅力を絵にする大切さに気づかされたのは試験直前の先生の指導。常にモチーフに真摯に、自分の感覚に嘘をつかないこと、描き方を身に付けることも大事だけれど結局心の中に置いていたのはそれでした。本番、絵を描くのが楽しかった。焦りは勿論ありましたが私が受かる、という思いだけは持ち続けました。
絵を描く上で自分の心に向き合うのが1番難しいです。私は常に後ろ向きで自分を否定してばかり、何かに怯えて不安に押し潰されていました。私の足で前を向かなきゃいけない、そう強く思ったときに変わりました。沢山の人が言葉をくれて、寄り添い、引っ張り上げてくれるけど、前を向くのは自分の意志です。自分の足で立って、真っ暗な目の前に踏み出してみなきゃいけなかった。
涙を流した時、何も言わずに手を握ってくれた、抱きしめてくれた友人達、いつまでも迷う私に光を見せてくれた先生方、何よりもずっと私を見てくれていた、すいどーばた美術学院に通わせてくれた母に感謝しています。
ここからだと思い、絵と向き合っていきたいです。

鹿内 日向子さん

千葉
県立千葉高等高校

合格大学:
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻
武蔵野美術大学 日本画科

「試行錯誤」

2浪目で初めて一次試験に落ち、環境を変え1から学び直す気持ちでどばたにやってきました
たくさんの人に囲まれ上手い人の制作過程を見るなかで自分が落ちた理由はすぐにわかり、課題を把握した後は地道な調整の日々でした。コンクールの成績は毎回振るわずどばたで満足いく作品は殆ど描けませんでしたが、どれも本番で失敗しないための経験値が増えたと思ってポジティブに捉えられるよう努力しました。得意を伸ばすより、自分が何故下手に見えるかという欠点を潰していく一年だったように思います

本番は出題意図が丁寧に伝わってくるモチーフだったので、その意図に添えるような絵作りを心がけました。昨年の悔しさもあって二次試験の場に立てた事が何より嬉しく、2日目に花がほぼ全て萎れたり奥のモチーフを丸々書き直したりしたハプニングも腹をくくって楽しむつもりで描きました。

私の描写力は他の受験生には到底及びません。ただ、審査する先生方は私達より何十倍も先輩でたくさんの絵を見てきた技術ある方々ですし、私の事を知らないまだ見ぬ人達に向けて、「いかに自分が真摯に楽しく絵に向き合っているか伝えられる絵を描けるか」を浪人中つねに意識していました。これからもその初心を忘れず制作を続けたいです。支えてくれた家族と友人、いつも親身に相談に乗って下さった先生方、本当にありがとうございました。

矢野 陸さん

東京
トキワ松学園高等学校

合格大学:
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻
女子美術大学芸術学部美術学科日本画専攻

最後の最後まで

私は高校の時から3浪まで他の予備校に通っていたのですが、藝大の一次を一度も通ることは出来ませんでした。4浪から家を引っ越したのもあり、心機一転してすいどーばたに通ったのですが、4浪目も一次は通りませんでした。合格者の中に自分の番号が無いのを確認した時、「もうダメかな」と感じて今年で最後にしようと決めました。
自分だけが一人落ちこぼれなのではという気持ちは本当に辛く、今思うと自分で自分を苦しめていたようにも思います。だからといって真面目にもなれず、授業をサボったり先生に言われたことに上手く反応出来ずにいたり、だから自信を持つことも出来ずにいました。ですが最後の最後、先生に「もしかしたら受かるかもしれない」と言われ、今まで同じような事は何度も言われたのですが、まだ私のような者にも言ってくれたのが嬉しく、自分の為にも絶対一次通らなきゃと思いました。
私はあまり器用というわけではなく、先生の指導も上手く理解できません。ですが先生が悪い所や良い所を繰り返し言ってくれたおかげで、ようやく身についたのだと思います。