先端芸術表現科 2024

※準備中です

H.Mさん

合格大学:東京藝術大学美術学部先端芸術表現科

出身校:星林高等学校
 

私は、今から約一年前の四月、通っていた一般大学(文学部)を休学し、すいどーばたの先端科に通い始めました。

 そして、半ば勢いで先端を目指し制作を開始した私を待ち構えていたのは、「わからない」の連続でした。講評での先生方のコメントもイマイチわからない。どこがどう理解できないのかもわからない。何故あの作品が高く評価されるのかもわからない。自身が作りたいものもわからない。そもそも、作るということがわからない。当時の私には、周りから圧倒的な遅れをとっているという認識が常にあり、そんな状態で参加する講評会が、堪らなく辛く苦しく悔しい事も時にはありました。
 しかし私は、そんな状況でも、いや、そんな状況だからこそ、とにかくすいどーばたに通い続けました。体調や私用等で行けない日以外は休まない、とにかく足を運ぶ、ということを意識し続け、全ての講評会に参加する事を目標にしていたのです。今思えば、これが、私が一年足らずで合格を掴むことが出来た事の、最大のポイントだったのではないでしょうか。
 これは決して、「予備校に頑張って通え!」と言いたい訳ではありません。(私も休むべき時はしっかり休んでいました。)これまでの人生で制作経験のなかった私にとっては、すいどーばたに来る、つまり、私の作品(考えている事やその表現)を他者(先生方や同期達)に見てもらう、そしてそれに対する何らかの反応を貰う、というコミュニケーションが必要だったという事なのです。
 そして、夏頃までは課題に応えるだけで精一杯、カリキュラムについていく事で手がいっぱいだった私も、いつしか、先生方の話を理解できる様になったり、自身が作りたいものを前向きに考えられる様になったり、自身で「これは絶対ポートフォリオに載せたい!(=藝大の教授に見てもらいたい!)」と思える作品を作れたりする事が増えていきました。私は、この経験を以て、雑草魂で勝ち取る合格もあるんだという事を、先端受験を予定している方には伝えたいと思います。
 
 私は、この一年間を、「受験の為の制作をしていた」というより、「自身の制作が受験に繋がっていた」という様に感じています。こう思えるのは、一受験生としての私ではなく、一人の作家としての私に向き合ってくださった先生方のおかげでもあります。そんなすいどーばたに通えて本当に良かった、一年間をここで過ごせて本当に良かったと、私は心からそう感じています。
 そして、親身になってくださった先生方をはじめ、一年間私に刺激や活力を与えてくれた同期達、作品制作に協力してくれた家族や友人達に、心から感謝します。この一年間、そしてこれまでの二十年間をバネとし、私の制作は今後も続いていくのでしょう。