武蔵美映像科の進級制作の話

投稿日: カテゴリー: 映像

みなさん、こんにちは。

前回は武蔵美映像科の学生たちが4年間を通してどんなことを学ぶのか、お話ししました。

今回はその中でも、3年の進級制作と、学生がどのように実写映画を作っていくのかについて取り上げたいと思います。

進級制作は、前回も説明した通り、3年次の一番大きなイベントであり、映像学科の中では卒業制作に次ぐ大きな作品制作の機会となります。期間は9月から始まり、大体10月の中旬に講評が行われます。しかし7月末から各教授のゼミに入るので、8月の長期休み期間を使って制作する学生も多いようです。

講評は上映組と展示組に分かれて行われます。

上映組には、実写映画(ドラマ、ドキュメンタリー)・アニメ・CG

展示組ならば、写真・インスタレーション・パフォーマンスをする人もいます。

その個々の作品を、教授と学生全員が一緒に観て講評していきます。

私は進級制作において、30分尺の実写映画を制作しました。

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学生が映画を作るとは一体どういうことなのでしょうか。もちろんプロのようなお金はありませんが、基本的には商業映画でやられていることとあまり変わりません。

では映画を作るために、まず何が必要になるでしょうか。

役者?カメラや照明?スタッフ?ロケ場所?

これも人によってそれぞれ違いますが、私の場合は、まずは脚本が必要だと思います。

脚本とは、単に物語の筋や役者のセリフが書いてあるだけではなく、「あなたがみている世界の、何をどういう風に見せるのか」という映像の設計図でもあります。それでいて、自分の映画に人(スタッフやキャストなど)を呼ぶための大きなフックにもなります。

脚本は、作品によって、人によって、かける時間はそれぞれですが、現場に入るまでに多くの人の意見を取り入れながら推敲していきます。進級制作の場合は各教授のゼミに入っているので、主に教授と話ながら制作を進めていきます。

さて、脚本が出来上がったらスタッフや役者を集めます。彼らが撮影時のかけがえのない時間を共に作ります。

ロケ場所を決めて、衣装や小道具なども用意していきます。撮影スケジュールも立てないと。機材は主要なものは武蔵美の映像研から借りることが出来るので、予約。時間があれば稽古や、テスト撮影をしましょう。

 

そこまでいったらいよいよ撮影です!スタートとカットの世界です。

私の場合は、脚本がパーソナルな内容だったこともあり、自分が主演することにしました。それから静岡ロケを敢行することもあり、スタッフは最大5人としました。おそらく一般的な映画のレベルで考えると総スタッフ数は恐ろしく少ないです。しかし、人数が少ないゆえに生まれる結束感が現場を盛り上げたり、瞬発力のある撮影を行えることもあります。

撮影は全部合わせれば10日間。うち5日は静岡ロケをし、3日は東京ロケ、残りを追撮という形でそれぞれ間を空け、その間で編集しながら撮影しました。

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この日は早朝に海での長いシーンを撮るために、夜2:30くらいに宿を出る。日が出るまで荒い波の音を聴きながら、機材セッティング・芝居リハをして待つ。

 

監督の仕事は場を作ることです。撮影現場を動きやすいような雰囲気に作り上げ、役者の芝居、カメラワーク、ロケ地の光や運動を、包括的に見つめていきます。そして、その全ての要素が一番輝く瞬間を捕まえに行くのです。

 

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編集の様子

撮影が終わったら、編集をします。撮った素材を吟味して、組み合わせ、バラバラだった時間を一つの物語に仕上げます。カット割りや、カットごとの時間の微妙な違いだけでも、印象はガラッと変わります。他にもセリフをアフレコするなど音を整えて、映画の空間を作り上げます。

編集が終わったら完成です!

完成したら上映して様々な人に観てもらいましょう。映像のコンペなどに出すのも良いでしょう。その頃にはもう撮った映画が納得いかなくなって、また新たに脚本を書き出しているでしょう。

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少しでも映画制作のことをお分りいただけたでしょうか。

ただこれは映画の作り方の見本ではなく、単なる一例に過ぎないのです。

映画の作り方は映画の数だけあります。

武蔵美の中でも様々な作家性を持った学生が、互いに刺激し合いながら、それぞれのやり方で作品を作っているのです。

 

 

映像科ブログ DOBAZOU http://dobazou.tumblr.com/

2017年11月5日(日)〔映像